鬼に訊け

宮大工 西岡常一氏
「木を切るっちゅーことは 命を二つに分けるということ」
「千年の檜には千年のいのちがある」
「木は鉄より強し」
「木は大自然が育てたいのちです。千年も千五百年も山で生き続けてきた、そのいのちを建物に生かす。それが宮大工の務めです」
日本が世界に誇る法隆寺の大改修を手掛け、法輪寺再建、薬師寺復興など数々の伝統建築を復興した、「最後の宮大工」の言葉。


いま西岡棟梁のドキュメンタリー映画を上映している。
ユーロスペースでは、モーニングショー始まって以来の観客動員数だそうだ。
事実、私が行った平日でも満席。前回は立ち見が出る程であった。
驚いたことに、客層はかなりの年配者が占める。
これほどまでに、西岡棟梁の功績が、一般の方々に広まっていたことに驚いた。
かつて、学生時代に呼んだ彼の本では、恐ろしいまでの気迫と「木」に対する敬いを感じたが、
映像に映る棟梁の背中は、思った以上に小さくなっていた。
晩年、病を患いながらも、薬師寺復興に努めた彼の、静かなる「闘志」を感じられる、素晴らしい作品でした。
鬼に訊け
宮大工 西岡常一氏は、未だ生きている。
法隆寺と薬師寺という「木」に姿を変えて。
さて、ちょっと奈良にでも行ってきますか。